この宇宙はほんとうに収縮するのか?(「焼成後に冷えたパン」が自然に潰れてアツアツに戻るのか?)

初めに、この宇宙が風船のような膨らみ方をしているとすると、全宇宙の天体やあらゆる物体の体積までもが膨張することになってしまいます。

ここで、物体・天体の体積までもが膨張してしまうと、膨張の現象それ自体、(その宇宙の中の)いかなる観測者にとっても確認できないことになってしまうので、これは「ナンセンス」です。

したがって、あらゆる物体の体積は(ほぼ)そのままに空間のみが膨張していないといけないのです。

とすれば、全宇宙の体積が増大しているということとなります。

さらに、全宇宙の体積が増大しているということは、この宇宙の外縁部が宇宙の外側に向かって引っ張られている恰好で膨張していることになり、なおかつ、宇宙のあらゆる場所から「新たな空間」が生まれていることとなります。

これは、窯に入って焼かれている「パン」のようなものです。パンに含まれるクルミやレーズンなどの具材(=あらゆる物体や天体に相当)の体積は(ほぼ)そのままにパン全体の体積が増大していき、さらに、具材同士の間隔が広くなっていく現象にかなり近いと思います。

ここで、「重力レンズ効果」や「光のドップラー効果」という現象からも、光は宇宙空間にベッタリと張り付いた存在だということがわかります。

したがって、宇宙の膨張が緩やかになってくると、宇宙の端に向かう光は先頭部分が潰れた形(=波長が短くなって、周波数が高くなる)になります。

さらに、もしも、宇宙の膨張が止まると、宇宙の端に向かう光全体が潰れた形になり、その光の先頭部分の(固有)時間が静止します。

そして、宇宙がいよいよ収縮し始めると、その光はドップラー効果によってより波長が短くなっていき(=より周波数が高くなっていき)、その光の軌跡が短くなっていきます。ついには、時間的に逆行する動きを見せて、光源に戻っていきます。

ここで、「エネルギー(=エナジー)保存則」を思い出してください。光の運動量(≒エネルギー)は一定に保たれるはずなのに、宇宙が収縮を始めると、その端に向かう光の運動量は小さくなっていき、最後にはゼロになります。

したがって、もしも、この宇宙が膨張から収縮に転じるとしたらば、エネルギー保存則を無視することになってしまいますので、宇宙の収縮とは、すなわち「物理法則の破綻」を意味してしまいます。

しかも、「エントロピー増大の法則」から観ても、一度焼き上がってから「冷えたパン」が自然に潰れて熱くなる現象を説明できません。

※一度、この宇宙全体に薄く広がった物質や熱量が一か所に集まりだす現象は熱力学的にはまずありえない。

終わりに、以上のことから、この宇宙が収縮する可能性は低いと筆者は観るわけです。