意識の正体(その仕組みと働き)

初めに、人間の意識には大きく分けて5つの機能があります。次にそれを説明します。

①感覚を司る「感覚系システム」。②記憶を司る「記憶系システム」。③感情を司る「感情系システム」。④思考を司る「思考系システム」。⑤身体を司る「身体系システム」。

これらのシステムの働きは概ね次の順番となっています。「①→②→③→④→⑤」。

これは意識の中を巡る情報の流れと一致します。

ここで、感覚系システムを通じて得られる情報(≒刺激)は、直ちに記憶系システムへと引き継がれて、数ある記憶の中で過去に処理した(=経験した)情報がないかどうか照合します。

記憶の中に該当する情報があれば、それを引き出して、次の感情系システムへと引き継ぎます。感情系システムは記憶にあった情報と照らし合わせて、意識上に記憶とすり合わせた感情を生起させます。

※「言いようのない」とか「言葉にできない」などという表現があるように、今までの記憶の蓄積にない情報については、明確・明瞭な感情が生起されない。

※人は真に、未経験・未体験な物事に遭遇すると、自ずと言葉を失うものであるが、それはこのモデルによって説明される。

生起する感情は思考系システムに引き継がれて、これを材料にして状況等に対する判断を下します。

最後に、身体系システムが直前の思考系システムによる判断に応じて身体的な反応や活動を決定します。

あくまでも、このモデルは旧来からある「刺激・反応説」に基づくため、モデルの動き・活動としては、状況や環境に対して受動的です。

※これ以降、このモデルを「受動モデル」と呼ぶこととする。

しかし、上のモデルに対して、状況や環境に対して能動的なモデルもあります。

それは、反芻(=フィードバック)を司る「反芻系システム」を中心にしたものです。

これは、「①→②→③→④→⑤」の流れを一区切りとして、最後の⑤により生じた感覚の情報(≒刺激)を再度、この流れに投げ込むことであり、これがそのまま状況の見直しや状況の変更、ひいては自ら周囲の環境を変えることにもつながります。

※つまりは、①から⑤までの流れを「ループ」させているのである。

※これ以降、このモデルを「能動モデル」と呼ぶこととする。

※受動モデルが駆動した直後に能動モデルも駆動する。

これら2つのモデルはそのどちらも欠けてはならないものであり、受動モデルに基づけば、意識の働きは「①→②→③→⑤」となり、④が欠けており、この流れの最後の⑤は状況や環境に対する「(自然な)(条件反射的な)反応」となります。

上に対する能動モデルに基づけば、意識の働きは「①→②→③→④→⑤」となり、これは④の思考の過程を挟んでいるので、人間自らが様々な物事について考えることが可能であり、この流れの最後の⑤は状況や環境に対する「(意図ないし意思される)活動」となります。

終わりに、まとめると、人間の意識とは、「①→②→③→⑤」(=受動モデル)と「①→②→③→④→⑤」(=能動モデル)の流れを一区切りとして、これを反復しているといえます。