国の借金は、国民の資産?(貸方・借方の錯覚・誤解)

初めに、今回は、「国の借金は、国民の資産?(貸方・借方の錯覚・誤解)」について述べていきたいと思います。

ここで、国民は市中の銀行にお金を預けていて、それを原資として銀行が日本国の国債を購入しています。

※本記事の執筆時点では、(ほぼほぼ、)日本国内の銀行が日本国債の大部分を購入しているようです・・・。

外資の存在が絡むと余計に話がややこしくなるので、この記事では外資の存在を(思い切って)スパッと切り落とします・・・(笑)。

(単純な)帳簿上では、国民は「貸方」となり、国は「借方」となります。

しかし、日本国の国民は、国が提供している各種の公共財・公共サーヴィスを利用しているので、「単純な貸方・借方の関係」にはなり得ません。

例えば、公共財でいえば、日本全土に道路が張り巡らされていますし、全国には大小様々の公園や図書館が置かれています。

公共サーヴィスでいえば、国内の治安維持のために警察があったり、国土を防衛するために自衛隊があったりなどです。

社会保障制度・セイフティーネットの維持・運用も広く言えば、公共サーヴィスに含まれます。

つまりは、日本国民は誰でも、(多かれ少なかれ、)こういった公共財や公共サーヴィスを利用しているので、日本国民は国にお金を貸し付けているのと同時に、そのお金を(一旦、国を介して)恰好を変えて使っているのです。

勿論、高額所得者(=高額納税者)などは、国が提供している財やサーヴィスを利用している分よりも多くのお金を(税や預金という恰好で)国に出しているので、(世の中の反発や反感を恐れずにいえば、)「(純粋な意味での)国への貸方」となります。

この逆に、国に出している分よりも多くの(国の)お金を使っている人は、「隣人(=富裕層)のお金」を融通してもらっていることとなります。

※これが国の持つ「所得の再分配機能」と呼ばれるヤツです。

※実はこれが、そのまま「国債の仕組み(=正体)」だったりします。

しかし、国の財政運営上、全ての日本国民の間で、誰が誰にお金を融通しているかの実態や関係は把握できないので、日本国の借金の総額を人口で割った額を算出しているのですね・・・。

そして結局のところは、「日本国の借金は、そのまま日本国民の借金」となって、全ての国民の肩に重く圧し掛かってくるのです。

※これを解決するために日本の中央銀行である「日本銀行」がお金を沢山刷って、市中に出回らせれば、確かに国の借金は減らせますが、一度これを実施してしまうと、ハイパーインフレを引き起こして世の中を混乱させかねません。

※勿論、実施の規模や金額にもよりますが、国内においてインフレを引き起こしてしまうリスクが発生します。

※ただし、市場に出回っている、流通している各種の商品や製品が、誰にも購入・消費されずに廃棄されている(=生産過多の状況になっている)のであれば、インフレはさほど大きくは起こらないとは思いますが・・・。

終わりに、昨今では、日本国は増税に次ぐ増税を加速して検討しているようですが、国の借金が(大変に)嵩んでいるこの今では、景気刺激・浮揚策を講じる余裕すらないと観るのが妥当でしょうね・・・。

※国の財政に対して大掛かりな手術を今断行することで、まさに今(日本国民が)痛みを引き受けるのか、手術を先延ばしにして、さらに大きな痛みを(日本国民が)引き受けることになるかの違いだと思います・・・。

※結局のところ、景気刺激・浮揚策とは、詰まるところ「バラマキ政策」のことですから、将来の借金返済をより苦しいものにするだけで、根本的な財政面での解決にはならないのですね・・・。