二項対立の原理②(「実」と「念」の切り分け)

初めに、今回は、「二項対立の原理②(「実」と「念」の切り分け)」について述べていきたいと思います。

ここで、たとえば、「明るい」と「暗い」の対比・対立的な関係について解説します。

これを実体(もしくは実態的)にいえば、「明るい」とは、"空間中の光が多い状態"となり、反対に、「暗い」とは、"空間中の光が少ない状態"となります。

これを概念(もしくは観念的)にいえば、「明るい」とは、"空間中に光のある状態"となり、反対に、「暗い」とは、"空間中に光のない状態"となります。

すると、前者の関係は「比較相対的」であり、後者の関係は「比較絶対的」であるということになりますね。

つまりは、二項対立には、「実」と「念」の二重の意味合いがあるということです。

もっと分かりやすくいえば、現実の世の中には、絶対的な男性や女性の存在(=生身の人間)はいませんが、想像や創作の中であれば、絶対的な男性や女性の存在(=偶像や性別像)というものを作ることができます。

つまりは、一つの二項対立であっても、二つの意味合いが重ねっているので、これについては、よくよく精査・吟味しないといけませんね。

最後に、まとめると、「実体・実態的」とは、物事の判断を「多寡」により測るということで、「概念・観念的」とは、物事の判断を「有無」により測るということです。

※我々人間の生きる現実・物質世界は、実に曖昧模糊としていて、その世界の中では、物事の判断に、二つ以上の判断材料を比較していたり、その「差異」を利用しているということが多いといえますね。

※上に対して、想像や創作の世界では、「絶対的な価値基準」や「物事の理想像」のようなものがあって、それに照らし合わせることで、物事を判断しているといえますね。

※「絶対的な価値基準」とは、すべての物事を"(明瞭・明確な)数値に置き換える"ということにつながります。

※前者が「文系的」だとすると、後者は「理系的」だともいえます。

※座標系で考えると、前者は境界値を含めず、後者は境界値を含めることとなります。

※その場限りの抒情・感情的(=パトス)な表現に徹しているのが「文系」ですが、すべての物事に法則性や再現性を求める理知的(=ロゴス)な営みをした結果、「物事の道理や真理」に到達するのが「理系」なのでしょう・・・。