帰納と演繹①(「横」でなく「縦」の関係)

初めに、今回は、『帰納と演繹①(「横」でなく「縦」の関係)』を書いていきたいと思います。

ここで、「帰納(法)」とは、複数の事実を観測して、事実の間にある共通性から、物事の結論を導き出す手法や考え方です。

したがって、既知の事実(=fact)がある場合に威力・効力を発揮します。

※いわゆる「経験則」とは、この帰納から導き出される。

※大雑把にいって、「物事の傾向」を分析する際に用いられる。

※日本人が得意なのが、こちら・・・。

ここで、「演繹(法)」とは、(数学・論理学であれば、)原理と原則などから、物事の結論を導き出す手法や考え方です。

したがって、既知の法則(=law)がある場合に威力・効力を発揮します。

※いわゆる、「三段論法」とは、この演繹から導き出されるもの。

※たとえば、「1+1」の「+」の作用・働きについては自明なので、この場合の結果(≒結論)は「2」である。

※日本人が不得意なのが、こちら・・・。

よく巷では、帰納と演繹は、対照的に捉えられていますが、それはおそらく「横の関係」としてでしょう。

しかし、帰納と演繹は、実際には横の関係ではなく「縦の関係」となっています。

※カントは、この帰納と演繹について統合を図りました。

なぜならば、帰納は、個々の具体的な事実をそのまま取り扱っている(=具象的)なのに対して、演繹は、事前に総合された具体的でない事実を取り扱っている(=抽象的)だからです。

※詳しくいえば、演繹とは「事実を記号化して その記号を操作する」こと。

つまりは、物事の「抽象度」という観点からすれば、帰納が下位にあたって、演繹が上位にあたるという関係となります。

最後に、まとめると、帰納とは「事実に対する処理や操作」であって、演繹とは「記号に対する処理や操作」であるということです。